国立大学法人山口大学 共同獣医学部 高野准教授は、マダニが媒介する病原体を研究しています。国内でも保管数の少ない貴重な菌株やサンプルの損失を防ぐために、このたび「DFSシステム」を導入。それまでは、フリーザーに付属している温度表示器で不定期に確認を行っていましたが、システム導入後は、モニタリングと温度異常時のメール通知機能により、夜間や大学不在時も含めた管理体制が整いました。国内でも保管数の少ない貴重な菌株の損失を防ぎ、新しい治療薬の開発や基礎研究への取り組みに「DFSシステム」が貢献しています。
導入前の課題
- 温度異常(エラー)が起きているかは、フリーザーのある部屋に見に行かなければ分からなかった。また、フリーザーが複数台あるため温度確認に工数がかかる
- 簡単に出入りすることが出来ない、別棟にあるディープフリーザーの温度が気になる
- 研究用の貴重な菌株やサンプルを保管しているが、確実な温度監視体制が整っていなかった
導入後の効果
- 「DFSシステム」により一元管理が可能となり、温度異常の発生時にはメールでアラートが通知されるので、迅速な対応が可能となり安全で確実な管理体制が整った
- 「DFSシステム」により、現場に行かなくても温度状況を把握できるようになった
導入の背景
研究用に低温で保管している貴重な菌株やサンプルを守るために、温度の監視体制を整えたい研究用の菌株等は、低温で保管する必要があり、研究室では現在5台のフリーザー(ディープフリーザー×3台、フリーザー×2台)を保有しています。ディープフリーザーで保管しているのは、研究対象であるマダニが媒介する病原体(長期保管は-80℃以下の低温保管が必要)で、それ以外にも、動物の血液や臓器などを保存して、野生動物などが保有している病原体を研究しています。
これら研究室のある建物には、非常用電源がないため、停電などが起きた場合には、液体窒素で菌株を保存するという方法をとってきましたが、研究室には、国内でも取扱いの少ない特殊な菌株があり、これらを失うことは大きな損失になりますので、きちんと保管したいという思いから、以前より通知機能のあるモニタリングシステムの導入を検討していました。
選定のポイント
セキュリティ面と予算の課題をクリアし、メール通知機能付きのモニタリングシステムでさらに後付け外付けが簡単であること!高野准教授が「DFSシステム」を選定した理由はいくつかありますが、まず第一の条件である、セキュリティ面(ローカルで管理できること)と予算(初期導入コストと買い切りであること)の課題をクリアし、さらに、他社製品と比較したなかで、一番イメージ(希望)していた利用法・運用法にマッチした機能を有していたことでした。とくに、ディープフリーザーに温度異常などが発生した際に、アラートが鳴るだけではなく、スマートフォンに通知がくるものを探していたといいます。
また、稼働中のフリーザーを停止することには抵抗がありましたので、フリーザーを停止することなく、機器を後付け・外付けで取り付けられることも評価のポイントになりました。
導入の効果
システム導入により機器故障の早期発見や、万一の温度異常の際にメール通知がくるので安心フリーザーの設備周辺は常時人がいるという環境ではないので、現場に行かなければ、温度状況は分かりませんでした。しかし、「DFSシステム」の導入により、これについてはまず遠隔モニタリングが解決し、さらに温度の異常発生時には自動でメールを発信することで、受動的でも温度異常(人的トラブル、機器故障、災害等の要因による)に気付くことが出来るようになりました。
温度異常の発生時には、必要に応じてフリーザー周辺にいる他の先生や生徒に対応してもらうという流れも出来、管理体制が整いました。また、モニタリングを続けるなかで、フリーザーに表示されている温度との差異も判り、温度管理の冗長化、フリーザーそのものの故障の早期発見や予防保全にも役立ちます。
お客様プロフィール
国立大学法人山口大学 共同獣医学部 高野准教授 様共同獣医学部 病態制御学講座
高野 愛 准教授
山口大学は、文化12年(1815年)、長州藩士・上田鳳陽により創設された私塾・山口講堂を起源とし、200年余りの歴史を経て、現在9学部8研究科を擁する基幹総合大学です。
「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」を理念とし、知を創造して世界に発信するとともに、地域の知の拠点として、地方創生に貢献しています。開学以来既に12万人以上の卒業生が日本全国各地・世界各国の幅広い分野で活躍しています。
所在地 | 山口県山口市吉田1677-1 |
---|---|
ホームページ | https://www.yamaguchi-u.ac.jp/ |
※本掲載内容は2023年03月現在(取材時)の情報です。