健康や福祉への貢献を目的に、感染症やウイルス等に関わるさまざまな調査・研究・分析を行うA研究所。近隣の医療機関と連携を図り、健康相談の実施や災害時の緊急支援活動など、地域住民の環境や健康を包括的に見守る役割も担っています。今回、ウイルスや細菌の検査を行う研究室からの要望で、菌株を保管する3台のフリーザー(ディープフリーザー2台とフリーザー1台)の温度異常監視を目的に「超低温冷凍庫監視システム」(DFSシステム)を設置。セキュリティ上の理由から、クローズドネットワークであることが導入条件のひとつでした。その他製品選定のポイントやシステム導入による監視体制の強化などについて伺いました。
導入前の課題
- 奥まった場所で保管しているディープフリーザーのアラート音が聞こえづらいことがあった
- 貴重な菌株を保管しているので、温度監視体制を強化したかった
導入後の効果
- 「DFSシステム」により、温度異常発生時には管理室の警告灯が発報。管理室職員より、担当者へ連絡がいく仕組みが出来た。迅速な対応が可能となり安全で確実な管理体制が整った
- 「DFSシステム」により、温度のログ管理が可能となった
- クローズドネットワークによる温度監視システムを導入したことで、安全にデータの蓄積や可視化を行うことができるようになった
導入の背景
フリーザーの電源が落ちた際、付属のアラート音が聞こえづらく温度上昇に気づくのが遅れたことがありました。今後のために監視システムの導入を検討へ。研究室では現在3台のフリーザー(ディープフリーザー×2台、フリーザー×1台)を保有しています。フリーザーには、しきい値を超えた場合にアラートが鳴る仕組みがあり、アラート音は廊下にも鳴り響くため、万一の異常発生時には担当部署以外の職員も含めて気づいたものが担当者へ知らせる…という管理体制になっていました。
ところが、ある時フリーザーの電源が落ちた際、アラート音が聞こえづらかったために異常に気づくのが遅れてしまうということがありました。幸いにも大きな問題はなかったのですが、今後のために監視システムの導入を検討することになりました。
選定のポイント
異常検知の仕組みや管理体制の再構築を目指すなかで、クローズドネットワークで完結するシステムであること、予算、工期、配線、工事規模などが条件でした。温度監視システムの導入を検討するにあたり、以下の点と併せて、フリーザーの異常を検知する仕組みを再構築したかったといいます。先に挙げた通り、これまで温度の異常通知はフリーザー付属のアラートにのみ頼っていたため、夜間や人の不在時に発見が遅れてしまう可能性がありました。そこで、今後は常時人がいる管理室でも同時にアラートが発報し異常を知らせることで、異常検知の仕組みそのものの冗長化と、万一の際にも迅速な対応が実施できる流れを目指しました。さらに、研究室と管理室は建屋もフロアも違うため、配線や工期・工事規模、予算の問題もありましたが、LoRa無線通信はそれらの課題をクリア。いくつかのシステムを検討した結果「DFSシステム」の導入に至りました。
<導入検討時のポイントと条件>
①セキュリティ(ローカルで管理できること)
②予算(初期導入コストと買い切りであること)
③小規模工事で収まること(管理室と研究室の建屋が違う)
④工期・納期の問題
⑤稼働中のフリーザーを停止することなく機器を取り付けられること
導入の効果
クローズドネットワーク(SMART-View-Local)を活用した温度監視システムにより実現した効果SMART-View-Localとは、アイエスエイ製品『WD100シリーズ』の活用に特化した、LoRa無線データ収集・監視・表示サブシステムです。各センサの出力データの保存とグラフ化を行うことで、過去から現在までの出力データを可視化し、ユーザが必要とする情報を提供します。今回、A研究所ではSMART-View-Localを活用したクローズドな温度監視システムを導入したことで、安全にデータの蓄積や可視化を行うことが可能となり、また、希望していた温度異常時のアラート通知の冗長化と、それによる万一の際の管理体制の強化等を実現しました。
お客様プロフィール
関東 A研究所 様※本掲載内容は2023年04月現在(取材時)の情報です。